手紡ぎの優しさとぬくもり 岩手のホームスパンの魅力を再発見

先日9月6日に再放送された趣味どきっ!(Eテレ)で、みちのくあかね会のホームスパンが紹介されていました。
録画予約設定をこまめに設定していなので、いつも見ていた番組が終了しても設定はそのままのことも多く、新しい番組に出会えたりします。Eテレはそんな出会が多いです。今回の趣味どきっ!もそういった番組のひとつでした。

翌日会社で
「昨日みちのくあかね会さんが出てましたよね」
「そう、あれ2019年のやつ」
という会話が聞こえてきました。あ〜、みんなこの番組知ってたんだ。

ホームスパンという名前は知っていましたが、その歴史についてはほとんど知らなくて、この番組内ではみちのくあかね会の成り立ちも話しておられました。

みちのくあかね会は戦後、夫を失った女性が暮らしの糧を生み出すための授産施設として始まりました。昭和33年に「盛岡婦人共同作業所」が発足し、そこで製造されたホームスパンを販売するため昭和37年に「株式会社みちのくあかね会」が設立されました。創業50年を越える現在に至るまで、製作のすべての工程はもちろん運営もすべて女性だけで行われている由縁です。
(みちのくあかね会ホームページより)

homespun

「HOME」家で 「SPUN」紡いだ 羊毛を 手染め 手紡ぎ 手織りした 軽く温かい ざっくりとした風合いの織物 岩手のホームスパン技法は 明治時代 綿羊飼育が導入された際に 英国人宣教師によって伝えられた 大正・昭和にかけては農家の副業となり 現在は地場産業として生き続けている その感触は肌に馴染み 丁寧な作りは長くの使用に応える

全国の生産額8割!岩手のホームスパン

名前だけは知っていたホームスパン。その名前は「HOME」家で 「SPUN」紡いだ、という意味だそうです。
もともとはイギリスで始まり、日本に入ってきたのは明治時代。二戸地域に緬羊が導入され、イギリス人宣教師により織り方が伝えられました。
岩手では大正時代から本格的にホームスパンが始まったようです。

軍服としての需要が大きかったのですが、国の緬羊事業推進で北海道、長野、福島、岩手で盛んになっていきました。寒い地域です。
しかし、地域の産業として残っているのはここ岩手だけだそうです。
裂き織もそうですが、地道にコツコツ、の手作業が大事に受け継がれていますね。

原毛から手染め、固まりを解いて繊維を揃え、混色など色を作ったりしながら、太さを調整しながら紡いでいく。そこから整経、綜絖通し、織りという作業に入っていきます。仕上げにお湯に入れて風合いを出す。
こんなに多くの手間がかかっているんですね。

すべて手作業で行われるホームスパン。
作るものの種類によっても羊毛を選んでいるそうです。マフラーになる羊毛と、ジャケットになる羊毛は種類も織り方も違うんですね。
手紡ぎならではの糸の太さも、また風合いが違って魅力的です。

岩手県の生産地は主に盛岡市と花巻市。工房独自の個性も豊かで、その技術は若い世代にも受け継がれています。
全国の生産額8割ってかなりすごいですよね。

みちのくあかね会
https://www.michinoku-akanekai.com/

日本ホームスパン
https://nihonmono.jp/area/14714/
羊毛の他にもシルクや和紙、ナイロンなど様々な素材で織っています。

織りの音の違い

さっこらは裂き織の工房なので、織りの音が毎日トントン、トントンと聞こえてきます。織りの時は、少なからず音が出るものだと思っていましたが、ホームスパンは“トントン”が聞こえませんでした。柔らかな風合いを出すには、強く織り込んではいけないんですね。そっと優しく織っていらっしゃいました。
マフラーなどはそっと織るのですが、服地はもう少し強く織ってもいいようです。この織りの違いが製品に大きく関わってくるのですね。

みちのくあかね会は盛岡手づくり村での体験も行っています。一昨年さっこらのみんなで手づくり村に行った時、スタッフ数名がホームスパンを体験していました。講師の方に「優しくだよ〜」と教えてもらいながら織っていました。
そう、思い出しました。「優しく」です。

とってもカラフルな毛糸たち

ついついいつもの癖でトントンとやりたくなるところですが、素材の違いを体験するとってもいい機会でした。私もぜひ体験したいです。
(いつもお団子ばっかり買っていて…)

北の地から生まれるスヌード

2016年、盛岡市で活躍する7つの工房や作家さんが、それぞれの個性で織り上げたスヌードが誕生しました。その名もMORIOKAスヌード。寒い冬を知る人々の手で織られた多様なスヌードは、男女問わず長く愛用できる織物です。
趣味どきっ!の中では、馬の毛のブラシでの手入れ方法を仕方を紹介していました。丁寧に手入れをすれば一生ものの一枚になりますね。

MORIOKAスヌードのページはこちらから
https://tekuri.net/snood/

どれも素敵なスヌードばかりです。工房や作家さんも知ることができます。

気になる雑誌を発見

ホームスパンの生産量を調べている最中に発見した季刊誌です。その名も「シープジャパン」。

http://jlta.lin.gr.jp/publish/sheep/index.html

緬羊の品種や育て方、病気、繁殖技術などはもちろん、ひつじの人形づくりやウールの帽子の作り方など、羊毛のあらゆることが書いています。
ラム料理も。

羊毛の深堀りには欠かせない情報誌です。

岩手は、小岩井農場の羊ショーを見たあとにジンギスカンを楽しく食べる県民😁(あくまでも個人の感想です)。
無料開放期間には子羊にミルクをあげたものです。こんなに身近にいた羊のことをあまり知らないで生きてきました。実は楽しいことがいっぱいあるのですね。
手織りもいいですが、私は密かに羊毛を紡ぎたいと思っています。どこかに体験できる場所はないかと思っています。

情報ある方、ぜひさっこらまでお知らせください!