毎年8月1日〜4日に開催される「盛岡さんさ踊り」。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は盛岡さんさ踊りが中止となってしまいました。7月には練習も始まり、街のあちらこちらで太鼓の音が響いています。今年は会場をいくつか分散して開催予定ですが、街の中に太鼓の音が響かないと、やはり寂しさを感じます。
盛岡さんさ踊りでは、多くの企業、団体がお揃いの浴衣でパレードを繰り広げます。何年かに一度、浴衣は新しいものに替えられます。そこで、「おつかれさま」の気持ちを込めて、使われなくなった浴衣に新しい役割を与えます。
汚れやほつれなどに注意し、織りに適した浴衣を選びます。丁寧にほどいて1枚の布にしていきます。用途に応じて染も行うこともあります。
1枚の布になった浴衣を、1cm幅で裂いていきます。細かな糸は丁寧に取り除き、他の浴衣と混ざらないように丸めます。
この裂いた浴衣はヨコ糸として織っていきます。
同系色ごとに分けられ、職人が一つ一つ丁寧に織っていきます。すべて手作業、手織りで作られています。
さんさ踊りの浴衣から、こんなにカラフルなコースターが生まれました。
伝統を受け継ぐ
盛岡さんさ踊りのスタート地点のほど近くに、もりおか歴史文化館があります。正面にはさまざまなイベントが開催される広場もあり、多くの人で賑わいます。岩手公園と隣接しているので、散歩やお昼休みに利用される方も多く、憩いの場となっています。
館内は常設展で城下町盛岡の町並みや城のなりたちなど、映像と展示で知ることができます。盛岡城は北上川、中津川の合流地点にできた丘陵に築かれ、川がお堀の役目を果たしていました。北上川には白鳥が飛来し、中津川には鮭が遡上します。当時の人達も同じような風景を見ていたのかな、と思ったりします。盛岡さんさ踊り当日には、この広場でさんさ踊りの練習にも参加できます。
盛岡さんさ踊りも、藩政時代から受け継がれてきた踊りです。
http://www.sansaodori.jp/about/
幸せは呼ぶと来るよ、という意味の「さっこら〜ちょいわやっせ」の掛け声とともに、多くの踊り手、太鼓、横笛などが参加します。2007年には『和太鼓の同時演奏記録』世界一を目指し、2,571人もの老若男女が集い、見事「世界一の和太鼓同時演奏記録」を達成しました。
東北で江戸時代中期から伝えられてきた裂き織りも、人々の手によって受け継がれてきた伝統工芸です。寒冷な気候のため綿や繊維製品が貴重だった東北地方は、日常生活に用いる衣類や布団などの布を裂いて、織っていました。
17世紀になって、東北地方にも古木木綿(木綿の古布)が入るようになり、その肌触りの良さは多くの人を魅了しました。しかし古布とはいえ安いものではなかったため、貴重品として「使い切る」文化の中で裂き織りの技術が発展していきました。
布を活かす文化。裂き織りコースターは、地元の浴衣を使って、地元の伝統を受け継いで作られています。
盛岡のお土産にぴったりです!