機織り機のたて糸って、なんだか細かくて複雑そうにみえますよね。
たて糸によこ糸を織り込んでいくという織物の仕組みは何となくわかるけれど、どうやって機織り機にたて糸を取り付けるかは、よくよく考えてみると知らないという人も多いのではないでしょうか。
今回はそんなたて糸を機織り機に取り付ける流れと「機上げ」についてご紹介します。
機上げの前に…「整経」
まずは、たて糸の準備。
機上げの前に、たて糸の長さや本数を整える「整経」という作業をしていきます。
この時、織上がりをイメージして、糸の配色を変えながら、専用の機械でぐるぐると巻き取っています。
(画像右のチェック柄になるようイメージして、整経をしています)
いよいよ機上げ
整経で整えた糸を、まずは機織り機の①お巻、②綾竹と設置していきます。
綜絖通しと筬通しという道具も準備して、いよいよ機上げです。
今回は灰色の単色の糸ですね。
機織り機を見ると、パッと目を引くこの大量の針金。これは「綜絖‐そうこう‐」という、上糸と下糸を入れ替えるための装置です。
よく観察すると、針金の真ん中に小さい穴が開いています。この穴にかぎ針のような道具を使って、上糸用、下糸用、二枚の綜絖に交互に一本一本、たて糸を通していきます。
この作業を通称「綜絖通し」といいます。
綜絖通しが終わると、次は「筬‐おさ‐」という細長い隙間が開いた金具にたて糸を通していきます。ヘラのような道具を使って、綜絖通しと同様、一本一本、地道に。
この作業を通称「筬通し」といいます。
機織りでよく見かける、たて糸に通したよこ糸を、トントンと押し詰めているのがこの筬です。
たて糸の間隔を均等にする働きもあります。
綜絖通しと筬通し。この二つをまとめて「機上げ」といいます。
機上げは、一本でも糸の通し方を間違うと大変なことになってしまうので、ものすごく集中力が必要な作業です。
最後に…「織り止」
機上げがひと段落しても、すぐ織り始められるわけではありません。
筬に通した糸を「織り止」していきます。
櫛で糸を梳かし、たて糸の張り具合、テンションを整えながら、織りあがった布を巻き取る棒に結び付けていきます。
この時、結び目の間にはどうしても隙間が空いてしまいます。このままでは、綺麗に織れません。ここで、もったいないの精神。中途半端に余っていたよこ糸を有効活用します。このまま、余ったよこ糸で織り進めることで、たて糸同士の隙間を均等にしていきます。
ここはいずれ裁断する部分なので、色や布の種類なども気にせず、余ったよこ糸でも大丈夫です。
これでようやく、たて糸の取り付け完了です。
機上げは目も使うし、なかなか根気のいる作業ですが、障害のあるスタッフが主体となって行っています。 たて糸の取り付け、機上げ…。専門的な内容ですが、少しでも知っていただけたら嬉しいです。
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